不登校経験者と語り合う
某県の教育委員会のイベントに行って参りました。
不登校・ひきこもり経験を持つ若者3名(男2名、女性1名)に僕がいろいろと質問をするというトークセッション。
結論から言うと、実に楽しかった!
先月辺りから、担当者と打ち合わせをして、3人のプロフィールが送られて来たり、質問内容を吟味したり。3人とも、小学校から不登校で、高学年辺りから教育研究所という不登校の子たち用の教室に登校しており、3人はその教室の同級生で、同じ定時制高校に進み、今は大学生。
どんな連中だろう?
担当者からは聞いていた事前情報は「よく喋り暴走する子たち」。ワクワクするような、ちょっと不安なような複雑な気持ち。
出会った彼らに「今日どうしたい?」って聞いたら、「混沌とさせたい!」と言って笑った。この瞬間,僕の肩の荷が下りたような気がしたし、「よし、それで行こう!」と言った瞬間に、何か打ち解けるものがあった。今思えば、この瞬間にこのイベントの成功が約束されたのかもしれない。
あんまり深くは考えていなかったけど、「大人たちに、社会に対して自分たちの経験を伝え、ひとりでも不登校になる子が減って欲しいんです!」なんて言われちゃったらどうしようかと、頭の隅っこで心配していたんだろうな俺。
本番前の楽屋で一時間ぐらい4人で語っちゃって(ディプパールとか!)。それがすごく面白かった。「今日はこのまんまレジュメ無視してやっちゃおうぜ」なんて思うぐらい、三者三様のキャクラクターと切り口があってフリートークが思白い。
ここでメンバー紹介。
哲学と心理と文学にかぶれた持論を持っている多弁なIくん。しかし語り切るまえに自問が始まり大抵は自爆。
熱い思いを言葉に仕切れずもどかしさに自問しながらもなんとか自分の気持ちを伝えようとするSくん。仲間の話しを笑顔で聞いてるナイスガイ。
冷めた突っ込みの後にぽろりと漏らす本音がいい味出してる紅一点のUちゃん。人間関係の狭間を縫うように生きて来ただけに観察スキルが高い!
楽屋で「不登校代表みたいな扱いされたくない!」と言ってるくせに「大人ってさ」発言があったので、「俺だって大人って一括りにされたら腹が立つよ。お前の言ってる大人って先生と親だけだろ!」なんて突っ込みしながら、どんどん腹割って。なんか僕的に懐かしい雰囲気。
さて、本番。セッティングされていたハの字型のテーブル配置が遠くて寂しい。角度も浅くて向き合ってないから寂しい。楽屋での一体感が尚更で、司会者が僕らを紹介してる間に「近づけようぜ」ってくっついて、角度をちょっと深くした。
緊張してたね。僕はちょっとざまあみろとか思いながら、なんとか緊張を解して欲しくていろいろ突っ込んだり、わざと汚い言葉を使ったり。この3人の魅力はクロストークにあるのに、マイクが二本しかなかったのが勿体なかったな。
不登校経験者が不登校・ニートについて意見が割れる様が一番聞いて欲しいことだったから。ひとりひとり抱えてる問題は違うんだぜって。
Iくんが同じような思いを語った。
「包括的に括って欲しくない」って。僕らの支援の場、特に行政関係者から出て来る言葉でここ数年頻繁に使われているのがまさに「包括的」だったので、彼のメッセージは新鮮でいて重かった。まあ、大人的な言い訳は山ほどあるけど、彼の言葉は受け入れたいなと心から思った。
終了後、満足げなIくん、語り足りないSくん、マイペースなUちゃんと握手。出来ればこのまま打ち上げで酒呑みながら場外乱闘を繰り広げたかったけど、お別れ。彼らに不意に舞い込んだ別のイベントのオファー。その担当者が見た目によらず堅苦しい人で、ちょっと心配だけど、僕は行かなくてはならない。
打ち合わせを気にしながら名刺を私、ミクシーをやってればと、僕のニックネームを伝え、邪魔にならないようもう一度握手して別れた。ちょっと泣きそうだった。ちゃんとした別れをしていたら泣いたな。
そのうちの一人。Uちゃんが僕のマイミクになっている。
生きることに真面目過ぎる彼ら彼女らに、ちょと馬鹿な話しでもしてあげたい。
Today's BGM is
COLE PORTER SONGBOOK この間、御茶の水でガーシュイン・ソングブックと共に買った一枚なんだけど、僕の中で軍配はコールポーターに上がった。ガーシュインはノダメで使用されたラプソディ・イン・ブルーとか。ポーターはね、なんと言っても名曲「Ev'ry Time Say Goodbye」かなあ。これを男性ジャズ・コーラス・グループのThe Hi-Lo'sが歌ってるんだけどいいですよ〜。