プロダクト・アウトとマーケット・イン
プロダクト・アウト:企業が商品開発・生産・販売活動を行う際に、企業側の都合(論理や思想,感性・思い入れ、保有技術など)を優先するやり方。
マーケット・イン:企業の商品開発・生産・販売活動を展開する中で、商品・サービスの購買者(市場)のニーズを優先し、ユーザー視点で商品開発を行なうこと。
『シャドーワーク』〜知識想像を促す組織戦略〜という本に好対照なこの二つのキーワードが出てきて、面白かった。
こないだ、ある広告出版系女子と話していて「今月号は相当良かったと思うんだけどどうでしたか?」と。「え!?どこが?」なんて会話をしていたときに、「プロダクト・アウトの発想に偏ってっから自己満で終わっちゃうんだよ、もっとマーケット・インしないと」と冗談ぽく言ったら、「上司と同じこと言ってる」と恐れられた(笑)
とまあ、こんな意味の言葉である。
このバランスって難しいですよね〜。マーケット・インがクリエイティブじゃないかと言えばそんなことないし、薄っぺらいプロダクト・アウトなら捨てちまえだし。
この本で比較対象していたわけではないけど、「日産」と「グーグル」が好対照で面白かったので、ご紹介します。
日産がマーチを開発する際に、「小型で乗りやすい」を売りにしていたのに、ある人が車幅を8センチを広げたいと言ったら、これが論争を呼んで。
まあ、これを裏仕事(シャドーワーク)で解決していくエピソードなんだけど。
企業の“善かれ”は市場の”善かれ”とは違う!と技術屋のプロダクトアウトを蹴散らし、マーケットインの発想に立ち、結局8センチ車幅を広げ(実験の結果、運転のしやすさは車幅よりも回転半径の小ささ、小回りに起因している)、前代未聞のカラーバリエーション10色を全面に押し出し、マーチは大ブレイクをするんだけど、
一方、グーグルはまったくマーケットインというものがなくて、思いっきりプロダクトアウトに偏った世界最高峰の傲慢エンジニア集団と化している。
自分たちが便利なものはきっとみんなも便利だろう。良いものを作れば広告なんか打たなくても口コミでみんなに伝わるはず。
なんとも押し付けがましいプロダクトアウトだが、ご存知の通り完璧なまでに今の所は奏効している。
まあ、グーグルにもマーケティング部は存在するだろうから、100%はないんだとは思うけど。それにしてもグーグルという組織はかっちょいい!憧れちゃうな。
さて、シェアコロ。
僕自身のタイプで言えば完全プロダクトアウト派です。
でもって、相棒が完全マーケットイン派(笑)
この折衷加減で、現職のプロジェクトは成功したと言えるんだけど、シェアコロをどうするか?
マーケットインのない若年者就労支援なんてあり得ないんですよね。プロダクトアウト型の支援は団塊世代支援者(特に理事長と呼ばれる)やキャリコンに多く見られ、別名を「説教」とも言う。
あっ!だから俺はキャリコン二次試験に落ちたんだ…(/□≦、)
逆に、親の会系の「見守り」を第一にしているスタイルは、当事者の「実は働きたいけど怖いから何もしない。でもちょっと背中を押してくれたら、一緒に歩いてくれたらやれるかも」の、“何もしない”部分だけをマーケットインしちゃっていると言える。
なんで、シェアコロは折衷でいきますが、自分の会社作ったんだもん、いいことだと思ったらプロダクトアウトをばんばんしていきまっせ!
今年も一年間、お世話になりました。最後にさらっと書きますが「退職願」を提出いたしました。大変心細いですが、口先だけじゃねえってことを実践者として、示していきたいと思っています。
これで、少し退職を公にできますが、このブログは匿名のままいきたいと思います。
それではみなさん、よいお年を!
Today's BGM is
Cal Tjaider/Los Ritmos Calientesよ〜く見るとエロジャケですがエロさが足りませんね、ダメです。カルの50年代のアルバムで、ウィリー・ボボとかモンゴ・サンタマリアが参加で、ほぼ打楽器というかなりネイティブな作品。後年のラテン・ソウルなカルを期待したら肩すかし喰った…。でもいいもんすよ。なんともこじんまりとした室内楽的なイージーリスニングで、ビブラフォンがクワ〜ンとと三半規管をマッサージしてくれて。大掃除のBGMには最適かも!ではまた来年ね。アディオス!