NPO大学を卒業した。
本日は、9年間お世話になったNPO法人を退職する日。
数日前から取りかかっていた出向先のデスク回りの整理を終わらせ、個人的な資料を梱包したり、交通費の精算をしたり。
コーヒーをいれるのも、コピーを取るのも、このビルからの景色も最後。
インターネット・エクスプローラーのお気に入りの削除。僕の旅立ちを祝福してくれているメールへの返信後、メール・アドレスを全てGmailにエクスポートして削除。近くの産業図書館で借りていた本を返し…。
すべてを空っぽにしていく作業を、できる限り感情移入しないように淡々と。
みんなの仕事の邪魔にならないよう、最後は事務作業をしていた女性職員に礼を言ってさらりと退室。
そのまま、この町で一番好きだったラーメン屋に行き遅い昼食。
これは一人だけの儀式。
いつもはただのつけ麺。今日は、はじめて特製つけ麺を頼む。「よく頑張ったよな、お疲れ。ちょっと奮発したって罰は当たらねえよ」。
そのまま電車で一時間半かけて本部に行き、退職手続き。最後の終礼に出席し在り来たりの挨拶を淡々と。
後輩のスタッフが、ある利用者に声を掛けて欲しいと言ってくる。
今更だからと断るが、彼は俺が家庭訪問をして家から出した最後の利用者。家を出る時のすったもんだで、俺が「おまえ」と言っちゃって「あなたにおまえと呼ばれる筋合いはない」と揉めたエピソード有り。オーストラリアにワーキングホリデーで行っている最中に事故に遭い、一次非難的に戻ってきているという。
家を出てきてからは、外の仕事が一気に増え、あまり関わる事ができず、実は後ろ髪を引かれていた気になるヤツ。
断ったのは、俺が責任を果たしていないという後ろめたさだった。
でも、今の自分だから伝えられる事があると思い、食堂でくつろぐ彼に声を掛ける。こんないい笑顔するんだ、素直にそう思った。
俺は、起業について話、起業を心に決めてから世界が変わった話をした。若い彼にアントレプレナーシップの素晴らしさを話したかった。なんだか照れくさかったけど、握手をして別れた。
気持ちが晴れないまま家路を辿る。サイトの素材集めがあるので歩きながらデジカメを持って。
高校の校庭を写していた時、「俺は今日、NPO大学を卒業したんだ」と思った。
途端に気持ちが晴れた。
いや、それは嘘だ。
あの時は晴れた。が正解。
先の見えない不安や、ビジネスモデルが間違いないんじゃないかという不安…。
この曇り空を晴らすのは誰かの言葉ではなく、俺の行動だ。助けてくれる仲間はいる。
Today's BGM is
James Taylor/Live
あなたがライブに求めるものがスリルなら、このアルバムは退屈だろう。どちらかと言うと、僕もライブにスリルを求めるので、このアルバムはイマイチなのだ。完璧過ぎるバック・ミュージシャン達の職人的な演奏とコーラスのスリリングに見せかけた予定調和。このアルバムはJTのベスト盤的な聴き方と、職人達のテクを聴くアルバムだ。僕が今夜欲しかったのは安心。