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2010年10月の5件の記事

2010年10月31日 (日)

大学について考える。その1〜AO入試を問う

私が参加しているユースワーカー研究会という会があります。
先月のテーマが「大学のイマドキ事情を知る」でした。
私はAO入試について非常に強く疑問を持っているので、
大学関係者の方へいろいろと質問をしたところ、
「おいおいちょっと大学やばくないか?」という危惧が鮮明になりました。
その後、個人的にもリサーチしたものをシェアしたいと思います。

AO(Admissions Office)入試とは、90年に慶応SFCが初導入し、
その後、96年ぐらいに軒並み導入された、
偏差値や学力一辺倒の入試スタイルではなく、
人物像を重視し、面接や志望動機で合否を決める入学試験のことです。

一流大学と呼ばれている大学ではAOでも落とされますが、
別名オールオッケー(All Ok)入試とも揶揄されている通り、
大学に入れる学力がないにもかかわらず、
入学できる(させる)仕組みになっています。

92年に、大学入学年齢の18歳人口がピークに達し、
その後、毎年平均3%という速さで大学入学年齢の減少しているわけですが、
それをまったく無視した形で文部科学省が大学の設置基準を緩和し、
90年に507校だった大学が09年には773校に膨れ上がりました。

これにより07年に入学希望者総数が入学定員総数を下回り、
大学全入時代、すなわち大学の定員割れが生じたわけです。
その定員割れをなんとかするためのAO入試なわけです。

私はこの問題を、学生に視点を置いた時の以下の問題に注目しています。
1. 早期に入学が決まるため、合格後の高校生活がおざなりになり、学力が低下する。
2. 1に伴い、一般受験生との学力差が顕著になり中退の原因となる(それを補うリメディアル教育が当たり前化している)。
3. 大学受験という、人生でも一番の踏ん張りどころとしての成長機会の喪失。

正式なデータは多分公表されてないと思いますが、
今年、就職が決まらず計画的に留年した10万人近い大学生、
そして、進路未決定のまま卒業した大学生。
これらの者の中のAO入試者と一般入試者の比率というものがあり、
恐らくAO入試者が苦労しているのではないかと思うのです。

こう考えると、学生は大学経営のために導入されたAO入試制度の被害者なのではないかと思います。

さらにいえば、規制緩和により業界を劣悪化させておいて、
国際競争で勝てるよう大学の質と責任を問い、
現場の教職員たちを疲弊させている文部科学省もいかがなものかと思います。

私個人としては、学生のためにも(経営的側面の強い)AO入試は廃止になればいいと思います。
それにより経営破綻する大学は潰れてしまってもいいのではないのでしょうか。
大学の専門学校化と言われていますが、専門学校になればいいんだと思います。

追記

いくつかのTwitter等でコメントをいただきました。
ああ、なるほど、そういう見方もあるんだなあ、と勉強になりました。ありごとうございます。
よっしーさんのコメントを読むと、僕が指摘しているこれ↓
3. 大学受験という、人生でも一番の踏ん張りどころとしての成長機会の喪失。
を。別の形で享受できるだという具体例だと思います。
それはそうですね。

Twitterでは、逆に全部がAOになった方がよいのでは、という意見もありました。

なるほどです。

ということで、僕の個人的な意見に、「経営的側面の強い」を入れたいと思います。

私は、学生のためにも(経営的側面の強い)AO入試は廃止になればいいと思います。

Today's BGM is
柳家小三治/『野晒し』
Ii142落語にはまっています。でも多分、レゲエが好きなのではなく俺はボブ・マーリィが好きなんじゃないか?という感じと非常に近く、俺は落語が好きなんじゃなくて小三治が好きなんじゃないか?と思うのです。小三治師匠の魅力は「まくら」にあります。CDを収録時間を見ると、まくらが30分、ネタが10分。いつ始めるか?始めないんじゃないか?この感じが堪らない。これもそのひとつ。

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2010年10月29日 (金)

あなたの力が社会を変える『市民セクター2010』二日目に登壇致します

詳細はこちらのホームページよりご覧ください。

4

日  時:11月22日(月) 13:00~18:00(*18:00~20:00 交流会 *希望者のみ)
      11月23日(火・祝) 9:30~16:30
開催場所: 日本青年館 中ホール・会議室(東京都新宿区霞ヶ丘町7番1号)
TEPIAホール(東京都港区北青山2丁目8番44号) *クロージングのみ
主  催: 市民セクター全国会議2010実行委員会
特定非営利活動法人日本NPOセンター
助  成: 社会福祉法人東京都共同募金会

参加対象: 社会を変えるために活動している団体、社会がこのままではいけないと思っている団体、社会変革のために活動している団体
民間非営利組織で活動している人および市民セクターに強い関心のある専門家、行政、企業の方
参 加 費: 両日参加 10,000円、 一日参加 7,000円 (*宿泊費等は含みません。)/ 交流会費 4,000円(希望者のみ)
参加定員: 300名(*定員になり次第締め切ります)
申込締切: 2010年11月12日(金) *ただし、定員になり次第締め切ります。
参加申込: 参加申込ページよりオンラインにてお申し込みいただけます。
※なお、参加費の振込先等は参加決定通知と共に送付いたします。

◎お問合せ先
特定非営利活動法人 日本NPOセンター
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル245
TEL:03-3510-0855 / FAX:03-3510-0856
E-mail:sector2010@jnpoc.ne.jp

私がお話をさせていただくのはこちら。

分科会B [地域の力を引き出す力] 定員:50名 
市民セクターとしてゆずれないこと

昨今、行政の役割・権限の変化や市民セクターの成長などから、これまでの「行政と市民セクター」「地域と市民セクター」の関係に変化が表れ始めています。「事業委託」「指定管理」「制度化」に代表されるように、多様な連携が進んできました。しかし、一方で「事業委託と団体経営」「制度化による弊害」「市民セクターと行政と地域の役割分担」」など、新たな論点も浮き上がってきています。
そこで、この分科会では、当事者の立場にたった「連携」や、市民セクターとしてゆずれないことについて、「ニート・引きこもり」「ホームレス」支援の現場を事例として、参加者と一緒になって議論していきます。

論点 ・制度化による可能性と弊害
・事業委託と団体経営
・人権を守っていくための行政・NPO・地域の役割分担
・NPOとしてゆずれないこと
■事例報告者 石井 正宏さん (株式会社シェアするココロ 代表取締役社長)
後藤 浩二さん (スープの会 事務局長)
■コーディネーター  西川 正さん  (特定非営利活動法人ハンズオン!埼玉 常務理事)


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2010年10月23日 (土)

ひきこもりの支援をするということについての個人的整理

内閣府の調査では70万人。
その他の調査では100万人とも言われている「ひきこもり」。

解せないですよね、「ひきこもり」って。

僕もそうでしたし、今もよくわからないまま、解せていません。

「なんで?」「どうして?」

こちら側の「?」に彼らは答えてくれません。

だから、こちらから推論を立てるんですよね、大人としては。

不登校、いじめ、怠け、甘え、親、社会変容、病気・発達障害、仕事の失敗とかが代表的でしょうか。

これらを繋ぎ合わせると、なんとなくモヤモヤが晴れます。

いろんなことをいろんな人が上記のさじ加減を変えながら、
いろんな言い方で「ひきこもり」を語ってます。

僕も職業柄で質問されるので答えはするけど、
一度もスカッと答えられたことはこの10年ないです。

解せない彼らを理解し、自分の世界から「?」を追い出したいんですよね。

この心理は、誰にでも備わったココロの安全装置だと思うんです。

僕は「なぜひきこもるのか」が解せてないというより、わかろうとする努力をある時期から積極的に怠ってきている、という感じがしています。

でも、僕の職業柄、モヤモヤを残しておくことの方が、
実は安全装置になるんじゃないかなあ、などと都合よく思っています。

立場上どうなんだという突っ込みは自分自身にありますよw。
でも、わからない怖さがないといろいろな場面で危険だなと思います。

危険に触れる機会のない人たちがわかった顔をして、
それを商売にしているんですよ。

僕が前職で、ひきこもり青年のいる家に家庭訪問をする機会を与えてもらい、
ひとつだけ言えることがあります。

彼らが最後、長年ひきこもっていた自分の部屋を出るとき、
たいていは、根が生えたようにぽつねんと座っているわけですが、

僕が長い時間語りかけたあと、彼らの両腕を抱え立ち上がるとき、
比較的ふわっと非常に軽く持ち上がることが多かったんです。

「ああ、この人は永い間、この時を待っていたんだな」と僕は感じ、
彼の閉ざされてきた人生に思いを馳せます。

そういう軽く持ち上がるようにタイミングを環境調整していくのが
支援という技術ではありますが、だいたい、その時をみんな待ってるんです。

ですから、「ひきこもり」の訪問支援を超簡略化して一文にすると
「あ、待ってたんだ、遅くなってごめんごめん。じゃあ行こうか」なんです。

もう一文付け加えるなら、
「忘れ物してたらそれはそれで、あとでなんとかしようよ」という感じでしょうか。

無言のSOSをキャッチしたレスキュー隊とでも言いましょうか。

「ひきこもり」って底なし沼みたいなもんじゃないかって思うんです。

底なし沼の脇を通りがかった人が、胸まで沈んだ人を発見します。

「なんで入っちゃったんですか?」と聞きますよね。

でも、胸まで沈んだ人は「いやあ〜…」とか、
「なんでって言うか〜…」みたいなことしか言えないんです。

「ボール取ろうとして〜…」ぐらいがかろうじて答えらしい答えかなあみたいな。

通りがかりの人は、「もう〜、しょうがないなあ〜」と言って腕まくりを始める。

僕はまったくこれです。たまたま誰も通らない道を通りがかっちゃったみたいな。
ロープ投げて引っ張ったら、苦労はしたものの案外助けられて。

なんかいいことしたなあって。
救出したとお茶でも飲みながら話すうちにいろんなこと知って。

ひょっとしてまた誰か落ちてんじゃねえかってんで行ってみたら、やだよぉ〜ってなもんで、
しょがねえってんで何をしまして、みたいな。注)ここだけ柳家小三治師匠風

そんな気がしてます。

僕の中の「ひきこもり」を支援する意味は、
社会的コスト云々ではなくここにあります。

ですから「なんでひきこもるのか?」という、
現実にひきこもっている70万人の吟味や評価は置いといて、ひきこもりを救出する仕組み。
とりわけ、救出するレスキュー隊の人材育成と確保が急務であると思うのです。

そういうことにシェアコロとして貢献できるよう動いてみたいと思っています。

最後に、中には出ない方がいい人、出る場所と出す人のミスマッチみたいなこともある
ということだけを付け加えておきます。

更に追伸を加えると。シェアコロはひきこもりやニートの予防支援を行っています。
予防支援というのは、「なんでなるの?」がわかってないとできない支援です。
「なんでなるの?」の答えは置いといて、「不登校」「(大学を含む)進路未決定」「中退」がそのリスクを高めることは事実だと思います。なので、この三点への支援を現在行なっています。

Today's BGM is
原田知世/eyja
22023公言している通り、僕の永遠のアイドルといえば原田知世さんであります。ただ、今はアイドルとしては見ておりません。アーティストとして見て、聴いています。この方は年々表現の幅というか奥行きが出てきつつ透明感を失わない稀有なアーティストだと思います。これは前作の延長線上、伊藤ゴロー色を強くした感じ。アンビエントなフワっとした音作りの中でしっかりと輪郭を持った知世さんの声。最高です。シンガー原田知世を知らない人は是非!
こちらは前作のキセルとのコラボ作品「クチナシの花」。名曲です。


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2010年10月15日 (金)

「100人のニートを支援するよりも、一人の支援者をしっかり支援した方が社会的効果は高い」ということの意味。

『サポステは、委託費でスタッフを雇用するのではなく、ニート支援ならまずニートを雇用しなさい』

こんなようなツイートを発見し、ちょっと解せないなあと思うともに、シェアするココロのミッションを再確認しました。

これは大きな認識の誤りです。或いは支援施策と雇用施策の混同に他なりません。

ニートがニートを支援してフリーターにさせれるでしょうか?

或いは、ニートがフリーターを支援して正社員にさせれるでしょうか?

どちらもできないと思いますし、現場感覚でいえば、そんなことしたら、雇用されたニートの若者は、その精神的負担でひきこもりになるでしょう(苦笑)。

ニートを雇用してあげよう。気持ちはわかるので、その方を責めるつもりはありません。

でも、ニートを雇用しても雇用は×1なんですよ。5人分の人件費がでれば5人の雇用が生まれるだけなんですよね。

この5人が、支援経験、または人生経験豊富な5人だったら、1年間で何人を雇用に結び付けられるでしょう。雇用は5人×エックスになります。

まさに、私が信じて疑わない「100人のニートを支援するよりも、一人の支援者をしっかり支援した方が社会的効果は高い」というのは、このことに他なりません。

多くサポステは、5人が5人とも力量のあるスタッフであるとは限らないでしよう。しかし、経験の少ない支援者を育て、未来の社会起業家を育てるインキュベーションとしての役割を果たしています。

私が問題にすべきは、この5人の力量の測定であり、標準化の方だと思ってます。

スタッフの男女比率、世代のバランス、平均経験年数が3年を割ってはいけないなど。

こういうことが問われず、成果が上げられないのであれば、だったらニートを雇用しなさいよ、という意見が出て来るのも頷けますよね。

同業者の皆さま、共にがんばりましょう!

Today's BGM is
Rallypapa And Carnegiemama/Good Times Are Comin' Again!!
Imgres_2渋谷BYGの再結成ライブに行ってきました。小さな箱のめちゃくちゃいい場所で。ラリパパは顔と名前と役割分担とかビジュアルが頭になかったのでさっぱりわからなかったのですが、今回ばっちり把握しました(笑)。二人目のボーカルがギターのガンホ君かと思ってたらピアノのチョスリ君で、はじめて歌い出した瞬間はびっくり。しかもその歌声がめちゃくちゃいい!。家に帰りライナー見てびっくりしたのは、スチョリさんが歌う曲がスチョリさん作曲ではなく、全部ヒョンレ君だったこと。彼はロビー・ロバートソンなんですねえ。このアルバムは当日ゲットしたもの。この4曲は全部やりましたね。「ドラキュラ」が名曲ですねえ。ライブでもよかったなあ。ライブ終了後、ヒョンレさんが出口でお見送りしてくれてて、感謝の言葉を述べて握手をしてもらいました。いいバンドです。長く音楽を続けていってほしい。
これはスチョリ君のソロ・パフォーマンスですが、曲はラリパパの名曲「終わりの季節に」。本当にいい声している。是非、聴いて下さい。オリジナルの後半の盛り上がりとか凄いんですよ!


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2010年10月 8日 (金)

日本最小規模のNPO立「侍学園」が炎上しました。---NPO法人侍学園スクオーラ・今人復興義援金のお願い---

Photo

10月5日の午後2時に、日本最小規模のNPO立「侍学園」が火事になりまし
た。「侍学園」は長野県上田市で若者に広く「学びの場」の提供を行ってい
ます。

私も何度かお邪魔していますので、あの爽やかなブルーの校舎が火事で燃え
たという報せに、ショックを隠せませんでした。NPO法人「育て上げ」ネ
ットの理事長工藤氏が、翌日、理事長の長岡氏をはじめ、茫然自失したスタ
ッフを励ましに現地に行きました。

その際に工藤氏が撮ってきた写真がこちらです。
http://www.sodateage.net/delivery/samugaku.pdf

工藤氏が下記の方法で「NPO法人侍学園スクオーラ・今人復興支援金」を
募っています。

JustGiving Japan 工藤啓のチャレンジ! 

「100人のニートを支援するよりも1人の支援者を支援したほうが社会効果は
高い」という言葉があります。まさにこの言葉通り、微力ではございますが、
日本の未来を担う若者のために、侍学園を支援していきたいと思います。

侍学園は若者支援業界にはなくてはならない団体です。
皆さん、是非ご協力よろしくお願いいたします。

以下に、侍学園支援に関連するリンクになります。

NPO法人侍学園スクオーラ・今人

長岡理事長のブログ

侍学園総合支援サイトが出来ています。

侍学園災害復興義捐金基金 有志会

NPO法人「育て上げ」ネットの理事長工藤氏のブログでのメッセージ

シェアするココロ代表取締役社長/石井正宏


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