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2010年11月の4件の記事

2010年11月30日 (火)

いじめられっ子が五感のスイッチを切れる場所

今日、ハマトリアム・カフェの企画で、北極冒険家の荻田泰永さんと、横浜の象の鼻公園から大さん橋を散歩しながら対談させてもらい、ひょんな仮説が頭にもたげた(ちゃんとした記事はハマトリアム・カフェにアップされます。こっちは僕の脱線文です)。

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でもってその信憑性がかなりあるような気がしてならないので書いてみる。

荻田さんは、北極に行くと、普段スイッチを切っている五感がフル稼働すると言ってた。

あるとき、テントの中で両掌を火傷し、助けを待っていたとき、左耳に凄まじい気配を感じ、ライフルを持ちテントを出ると、200メートルも先に白熊がいたと。

普通なら聞こえるはずのない物音を、極限状態で気配として感じたのだろう。

北極にいるときのような五感の使い方を都会でしていたら、情報量が多過ぎて、気がおかしくなるだろうと荻田さんは話した。

そこで僕はいじめられっ子たちのことを考えてしまった。

彼らは、物凄く高い感度で五感を働かせ、いじめっ子たちから身を守っている。

或いは、空気を読んで、集団から浮かないように全神経を集中している。

それってもしかしたら、荻田さんが北極で五感にスイッチ入れてるときと同じような気の入れようなのではないかな?

荻田さんが何気なく言った「そんなことしてたら気がおかしくなる」ことを、いじめられっ子たちは毎日学校でしているんじゃないかな?

うん、してるんだよ、きっと。だからへとへとに疲れちゃうんだよ。

荻田さんにはライフルがあり、いざとなれば威嚇射撃で白熊を追い払えるけど、いじめられっ子はライフルもなければ、威嚇射撃もない。

日々、神経を擦り減らしながら、最大限の警戒レベルを保っていても、暴力を日常的に受けている子もいるだろう。

僕は急に悲しい気持ちになってしまった。

いじめられるということが自らの命を絶つところまでさせてしまうことへの想像力はあるつもりだった。

自分も中二の転校したばかりの頃、ホントに嫌な奴に一時いじめられていたときがあった。

あるとき我慢の限界に達してぶっ飛ばして、眼鏡をぐにゃぐにゃにしてやった。

エピソードは自分的武勇伝として多少ドラマチックに脚色されて覚えてる。

しかし、その時の気持ちなんて忘れてしまった。

「君の気持ちはわかるよ」なんて、心の底から言えないかもしれない。

だけど、今日、荻田さんの話しを聞いて、リアルに、いじめられるってしんどいだろうなあ、と思った。

彼らいじめられっ子たちが五感のスイッチを切り、無防備にしていられる楽園は自分の家、そして部屋なんだろう。

家の外のそういう場所で僕は長いこと仕事をしていた。

果たしてそうだったのだろうか?

愛する者の胸に顔をうずめ、すべてを受容し、許してもらえているような。

(まあ、それは僕の自由の形だけど)そんな場所を大人たちが作ってあげなきゃいけない。

そんなことをぽかぽか陽気の大桟橋で考えた。

荻田さん、ありがとうございました。なんか若返った気分です(笑)

Today's BGM is
Norah Jones/..Featuring Norah Jones
20101118003104昨日、長女のバースデープレゼントを探している時に見つけたノラのゲスト参加作品集。最新作である『The Fall』に不満タラタラのファンのためのクリスマス・プレゼントかなとか思った。僕もあれはほとんど聴いていないタラタラ派なので、欲求不満を解消してくれる1枚だ。ジャケもかわいいなあ。やっぱ大好きだよ、なんていいたくなるそんなアルバム。The Little Williesは入れなくてもよかったなとか、ジェシ・ハリス絡みがないなとかあるけど、この冬はこれで過ごしたい。
荻田さんのYoutubeの映像。すげーなあ。


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2010年11月24日 (水)

大学生へのキャリア教育

昨日、日本NPOセンター主催の『市民セクター2010』に登壇させていただき、そのこともここに書きたいのですが、あまりに内容がラジカルなので、様々な誤解を生みそうということと、まとめる時間がないので、今日行ってきた、東洋大学白山キャンパスで、文化社会学を学ぶ学生300名ぐらいを対象にお話をさせてもらった内容について書きます。
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(小川さんすみませんでした。渡したカメラがマクロに設定してあったみたいでみんなこんな風ですw。僕が悪いんです!)

実は、去年に引き続いてのご依頼で、二度目の登壇です。起業してからつくづく思うことは、続いて依頼してもらえる有り難さ。これはよかったからまた頼んでくださるわけなので、一番の評価だと受け止めています。

さてさて、話した内容は、市民セクターで話した「NPO法人の委託事業によるメリット・デメリット」について。僕自身が、どうするべきかわかっていないことを、大学生にどう思う?とぶつけてみました。

限られた時間なので、サンデルさんみたいにはしませんでしたが、あちらを立てればこちらが立たずのジレンマを問い、自答していく過程を提供することこそがキャリア教育なのではないかと最近考えています。

「俺もどうしていいかわからないんだけど、君たちはどう思う?」

といった感じで、いくつか宿題を投げかけたつもりです。

僕は高校生に「17歳という年齢がどういう年齢か?」という話を毎回しています。答えは、はじめて友達や家族以外の問題が自分の問題になる年齢ということです。古舘伊知郎がテレビの中で「大変なことになりましたねえ」という社会の問題というやつが最終的に求人数となって自分たちの身に降りかかってくる年齢なんです。だからもっと社会の出来事に感心を持てと。

その時に、社会に対してどういう構えを持つか、という話をしているわけですが、今日、大学生に話してて、彼ら彼女らの顔を見ながら思ったことは、この人たちは今、社会の問題が自分の問題になったことを知ったのではないか、という思いです。

「あなたが無人島にたどり着いたら一番最初に何をする?」。サバイバルの第一条件は、自分の置かれている立場環境を把握することです。それをせずに就職戦線というサバイバルに挑んでいるんだろうなと思いました。

恐らく出てくる言葉は「ここまで厳しいとは思わなかった」でしょう。なんで誰も教えていないんだろう?なんで考えさせる時間が提供されていないんだろう?ちょっと立ち止まらせ、自分の「来し方」について考えさせないんだろう?

ご時勢柄、僕も「大学生の就職浪人10万人は何をするべきだったのか?」ということを話たりしたせいか、去年よりも学生たちのシリアス感がありました。終了後、集まってくれた生徒も去年よりも多く、その質問にも、就活の悩みが含まれていました。

終了後、タイプのまったく違う二人の大学生と食堂でお話をしました。僕は大学生に会うと、高校時代に自分のキャリアについての考え方を教わるような時間を学校から与えられたか?と質問するんですが、100%が「NO」。この二人も「NO」でした。受けたかったかと問うと100%「YES」。忘れてる可能性も大だけど、忘れるようなことしか高校が提供できてないとも言えますよね。

こんあ時代です。科目として『キャリア』が必要だと思う今日この頃です。

前回は余り思わなかったけど、今回は同じ内容の話をいろんな大学で話したいと思いました。ちょっと営業かけてみよう。大学関係者の皆さん、是非、弊社にご依頼ください!

Today's BGM is
Robert Plant & Alison Krauss/Raising Sand
Plantkraussraisingsand3アリソン・クラウスは、映画『オー・ブラザー』のサントラ以降、ずっと気になっていたんですが、手が出ないまま来てて。でもってこれ。念のため書くとレッドツェッペリンのロバート・プラントのデュエットアルバムでしかもグラミー受賞作。いやあ、ずっと聴きたかった!やっと買ったよ(遅!)。噂に違わぬ良盤ですねえ。T-ボーン・バーネットもいい仕事したし、バックの強者たちが最低限のことしかしないというシンプル・イズ・ベストを狙ったストイックな演奏が最高。そして歌ね。ハニードリッパーズの「See Of Love」でグッと来たあの感じと同じ良さがある。これこれ↓

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2010年11月13日 (土)

高校生の就活協定はこのままでいいのか?

前々からどうなのかと思っていたが、やっぱりどうかと思うので書きながら整理したいと思います。

就活協定(職業安定法に基づくもの)は、高校生が同時に応募していい会社の数の制限と、応募していい会社の制限のことです。

応募していい会社は、ハローワークを介した会社だけです。

応募数は都道府県レベルで決まっているようで、神奈川では二社までになっています。恐らく他も同じくらいでしょう。それとも「一人一社制」なんでしょうか。

ご存知のように大学はこの協定がないから、100社でも200社でも受けれなれるわけです。

恐らくこの協定、ハローワークを経由させるので、労働基準法や最低賃金法を無視したおかしなか会社は入り込まないとか、二社というのは学業に支障がないようにだとか、高校生を守る目的で始まったんだと思います(ひょっとして企業の負担減?)。

右肩上がりの時代には、確かにこれで高校生は守られていたんでしょうが、果たして15〜24歳の年齢層がもっとも失業率の高い今、この協定が高校生を本当に守っているのでしょうか?

サバイバルなんて言葉飛び交う就職活動で、これが足かせになっていないか、という検証がしてみたいというのが僕の気持ちです。ちょっとづつ検証し、考察を深めていきたいと思います。すみませんが、このエントリーは衝動的に書いてますので悪しからず。

確かに、世間知らずの高校生が大人の目の届かない、なんの管理もない場所で就活するのは、あまりにもリスキーだと思います。

でも社会情勢では、この協定が高校生の首を絞めているという現実も起こっているのです。

実際に先生から聞いた話しを紹介します。

今、理由は言わずもがなですが、企業は採用に時間をかけています。

9月の就職試験解禁日に受けた会社が、結果を出すのが11月です。

神奈川の場合だと、9月に二社受けたら、11月まで指をくわえてただ待つしかありません。

出た結果が補欠。そこからまた引っ張って結局不採用とか…。

11月で不採用がわかる。さあ、就活のやり直しだ。しかし、もう求人がない。

ここは世相を正解に把握していただきたいところですが、昔は「選ばなきゃ仕事はあるだろう」というツッコミは有効でしたが、今は1次に落ちると求人自体がない時代なんです。ちなみに、去年の高校生の有効求人倍率は2010年の最終で1.23倍で、一人一社以上あるように見えますが、内定率の圧倒的低さで全員が採用にはいたってません。また1.23倍も全国平均であり地方に行くと1を大きく割って、5人に1社とか。ひどい地域では高校生の求人がゼロというところも…。

ある高校では、協定無視の自力の就活を奨励せざるえない、という声も聞こえます。

また、以前、定時制高校でガイダンスを行った際、生徒から「自力で就活をしてはいけないのか」という質問を受けたことがあります。

これは、高校に来る求人内容の業種に偏りが大きく、高校生の職業興味とミスマッチが大きいという背景があります。僕は「フリーターで自分探しよりも、とにかく正社員で就職しやりがい探しをしよう」というメッセージを伝え、そこからのキャリアアップという話をしていますが、どこまで現実的なのか、悩むところでもあります。

自力で就活をしても、正直このミスマッチが解消できるとも思えないです。

学校側もグレーを作らざるえず、生徒もストレスになっているこの協定、今のサバイバルな就活状況に臨機応変に対応してみてはいかがだろうか?

具体的には、ハローワークを介すのは、事後でもいいのではないでしょうか?採用後に非公開求人としてハローワークを介したことにするようなケースはいくらでもあるような気がします。この事務処理の間に入る先生の負担が増しそうですかね、これは。

まあ、それより現実的なのは、応募制限を二社から五社に拡大するとか。

僕の思い付きにも当然のことながらメリット、デメリットありますし、もっといろいろ調べて発言するべきだとは思います。

でも、かなり当たり前のことすぎて問題にされてないことに対して、僕なりのアクションとして書いてみました。

是非、叩いてやって下さいませ。

Today's BGM is
Lou Reed/New Sensations
Cover_new_sensationslou_reedルー・リードも寒くなると聴きたくなるアーティストの一人かも。このアルバムの評価はどうなんでしょうか?僕もあんまり聴かないんですが、今、何気に聴いてて「お!?」です。80'sなドラムとかもなんか気持ちいいし、なによりルーの声が、歌がいい。「Turn to Me」なんて、これこれ!って感じ。隠れた名盤なんじゃないかな。ちょっとルーのブームがきそう、そしてヴェルベットへ。


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2010年11月 8日 (月)

真面目君タイプがピンチの時代

先日、某高校の進路指導担当の先生と話していたら、なんでお前がというやんちゃタイプが内定を決めてきて、真面目タイプが内定を取れなくなっている、と聞きました。

ああ、なんかわかる気がするなあと、その言葉をほぼ受け入れました。でも、「子育て」とか「教育」をキーワードにしたら、わかんなくなるなあ、と、同時に複雑な思いがしました。

僕がガイダンスをしていても、真面目に話しを聞いてる従順そうなタイプは、話しをちゃんと聞いてくれるのでいいのだけど、このは大丈夫かなあ、と心配になるんです。

一方「ほらそこ、話し聞いとけよ!」と注意しなきゃいけないタイプは、顔付きもしっかりしてて、バイタリティを感じる子が多いんですよね。なんせ笑顔がいい。

考えてみると、真面目君には真面目君というキャラ以外のキャラがない。このタイプは面接指導をすれば明らかなんだけど笑顔が出ない。

一方、やんちゃ君は面接の時などは真面目キャラにもちゃっかりなれる。でもって笑顔が出るんですよね。

この差だろうな、と僕は読みました。大人が育ててやりたいという“可愛いげ”ってヤツですよね。

今、高卒採用をしている企業はどんな人材を求めているのか。

それはどこまでも手のかからない人材です。だから、去年まで筆記試験を行っていなかった企業が筆記試験を取り入れているわけです。

いや、手をかけるのはやぶさかではない。がしかし、気まで使わなきゃならない人材はごめんだ、ということではないでしょうか。

真面目タイプの彼らは、正直心配ですよ。二人きりになったら仕事柄、「なんか悩みあんじゃね〜の?」と聞いてしまうでしょう。

一方、やんちゃタイプ。大人からしたら可愛いげがありますよね。

前回のエントリーに、札幌でサポステやってる松田さんがコメントを付けてくれました。

「教育は18歳で働くことを前提にしていない」と書いてあり、その通りだと僕も思いました。

まさにこの真面目タイプの彼らですよ。自分だって、こんなに早く社会におっぽりだされるとは思ってなかった、そんなキョトンとしたあどけない顔付きです。

進路指導担当の先生は、真面目タイプには、職業訓練校のようなところで手に職をつける迂回路を用意してあげる必要があると言ってましたが、これこそがまさに、「18歳で働くことを前提にしていない」ことに外ならない事実ですよね。

社会が若者を育成できなくなっている以上、学齢期にどこまで職業的教育が行えるか、ということは大変大きなテーマになっています。

僕は、本田先生の言うところの「緩やかな専門性」、これはキャリア的な言い方をすれば「トランスファブルなスキル」をいかに多く持つかということではないでしょうか。

高校就職組には、進学組(4年猶予組)とは、まるで別な教育が必要だと思います。そういう意味では、進学する気がないなら、商業高校や工業高校に行くべきでしょう(正直、僕は工業高校でしたが、ここをあまり強く言い切るような学校生活を送った覚えが残念ながらないです。しかし、就職率等データを鑑みればそういうことです)。

まあ、真面目という言葉の解釈も様々ですがね。自分の子どもをどう育てるべきなんでしょうかねえ。

「うちの子は真面目だけが取り柄で〜」では通用しないんですよ。ほどよくおバカさんな感じが愛嬌でしょうか(笑)

本当に難しい時代になってしまいました。教壇の上に自分が立つということを、ちょっと真剣に、目をつぶり想像してみてください。

あなたなら、彼らになんて話しかけますか?

Today's BGM is
Jamie Cullum/Twentysomething
Images声というものは、神からの贈り物なのだろうとつくづく思う。この人の声は、賜物という感じがする。このアルバムの一曲目(下のYoutube)の歌いだしを聴いただけで、僕も歌う者のはしくれとして嫉妬する。ノラ・ジョーンズを初めてラジオで聴いた時の感じに凄い似ている穏やかな衝撃があった。是非、皆さんも興味を持っておくといいボーカリストだと思いますよ。


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