『大学生の生活満足度調査~Quality Of University Life~』
大学関係の方々とお話するなかで、
どうやら大学が把握できていない層の学生たちが大学にはいる、
という実感を数年前から持っていました。
このような層の若者たちを、私たちは仮に、
ニートでもフリーターでもなく中退者でもない
「第三の若者たち」と呼び、気にかけていました。
しかし、どうやら彼らは実感値の中だけに存在し、詳細が把握されていません。
この実感値は、教育関係者や若者支援者と話すと、
「いるいる」と共感を呼ぶ話ではあるのですが、やはり実態が掴めない。
実態がつかめていないということは、
即ち対応されていないということになるわけですが、
実は、もっとも対応が必要な層が「第三の若者たち」なのではないのか、
と考えるようになりました。
彼らの実態が掴めない理由は、
大学がそもそも能動的に学ぶ場として設計されているため、
受動的な「第三の若者たち」に
アウトリーチするという文化がないということだと考えられます。
大学の進学率が50%を越え、入試方法も多様化し、
エリート教育から大衆教育へ移行していくなかで、
「能動的に学ぶ場」だけが従来通りのコンセプトを保ち続けることに
無理が生じてきていているのではないでしょうか。
この無理が生じてきているなかで生まれた新たなニーズを、
大学は実感しているものの対応策が取られていない、
或いは対策の取り方がわからないのではないかと思うのです。
そのニーズは、キャリアや就活という切り口だけでは拾い切れないもので、
もっと広い意味での福祉的なサポートを必要としているのではないかと私たちは考えています。
これは、大学入学を機に躓いた、いわゆる高学歴者の相談ケースが後を絶たない、
私たちの現場感覚でもあります。(よこはまサポ-トステ-ションの発表データによると、
学歴別利用者の34%が大卒・短大卒でトップ)。
相談内容は概ね、大学に入って早々に孤立し、
サークルにも参加せず、就活の時期に差し掛かっても身が入らない。
誰に相談することもなく進路未決定で卒業し、
フリーター、ニートとなり身動きが取れなくなっている、というものです。
彼ら一人ひとりの事情を聞くと、自己責任論だけでは片付けることのできない、
様々な家庭的、社会的背景から困難さを抱え込んでいることが多いのですが、
在学中に、課題解決のために大学が手を差し伸べることはないし、
本人も相談も行かないというのが実態のようです。
また、NPO法人NEWVERYの調査によれば、
昨今の約8万人いるといわれている大学の中退者は、
個別の困難さが理由というよりも、
むしろ大学の質と学生のニーズとのミスマッチであることが浮かび上がってきています。
シェアするココロでは、このような課題に対し、
厚生労働省の社会福祉推進事業に企画提案し、受託することができ、
外部から委員を招聘し、「大学生の生活満足度向上委員会」を立ち上げ、
『大学生の生活満足度調査~Quality Of University Life~』
(略称QOULクォ―ル)と銘打ち、
大学生へのヒアリング調査と、ウェブによるアンケート調査を実施し、
彼らが何に困り、何に不満を抱き、どのような不安を持ち、
期待してているのかを調査し、大学内で解決できる仕組みを模索し、
提案していける事業としていきたいと考えています。
関係各所へご協力の依頼等させていただいておりますが、
ご関心をいただいた方や、連携の可能性等ございましたら、是非、ご連絡下さい。
[株式会社シェアするココロ代表取締役/石井正宏]