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2011年7月31日 - 2011年8月6日の4件の記事

2011年8月 5日 (金)

【コラム】スキンシップというラポール形成スキル

ラポールとは、カウンセラーがクライアントとの信頼関係を指す、心理学などでよく使われる言葉です。確かフランス語で「架け橋」という意味、だったようなw。

このラポールを、意図も容易く築き上げてしまう男たちが、僕のいた職場にはけっこういました。そのスキルが、今日のテーマ「スキンシップ」です。

通常のそれは、ソフトタッチから入り、ヘッドロックやドツキへと、ラポールが形成され、強固なものになるに従い、容赦なくなっていき、四の地固めなどへと発展していきます。

ちなみに、僕は下手。今、思い返してみると、断然体育会系のスタッフたちが、スキンシップの名手たちでした。

彼らにヘッドロックされた利用者は、ココロもロックされれたように、スタッフを信頼していきます。

想像してみて下さい。10年間引きこもっていて、誰とも接触してこなかった若者が、10年ぶりにヘッドロックをかけられ、「やめて下さいよ~」とか言いながら、まんざらでもないココロ模様を。

想像してみて下さい。カウンセリング・ブースで、カウンセラーがクライアントにスキンシップをしているところを…。こっちはヤバイです。危険な香りがしますよね?

ブースの中だから安心して築けるラポールもありますが、ブースの外だからこそ、生活をともにしているからこそできるラポールもあるんですよね。

象徴的なのはマージャンです。これまで、ネットやゲームの中でしかしたことのないマージャンを、四人でテーブルを囲み、手が触れ合いながらジャラジャラと牌を混ぜるあの感じ。

ベテランスタッフになると、牌を混ぜながら、緊張感の高い利用者の手をわざと握るという、変態と紙一重な高級スキルを使います。これがスタッフとのキャラとマッチした瞬間、至福の和みが生まれます。

マージャンのできるスタッフと、マージャンにハマった利用者の、密接な信頼関係は、まさに引きこもり青年の人生を変えるほどのものがあります。

若年者就労支援施設での、有能なスタッフの必須条件を、ハローワークの求人風にまとめると、以下のようになるのではないでしょうか。

人の肌に抵抗なく触れることのできる体育会系の方で、プロレスの技をマスターされている方。マージャンができる方にはもってこいの職場です。点数を数えられる方優遇。

そういえば。ある日、背伸びして利用者にマージャンを教えてたら、「石井さん、それ逆まわりやで」と言われたことがあったなあw。

スキンシップは、訪問販売員の高級テクニックでもあります。その昔、掃除機売りだった僕は、主婦に、実際に掃除機を使ってもらうというデモンストレーションで、「奥さん腰曲がってるよ!」と、購入を決断出来ない方には「決めちゃいましょう奥さん!」と、ポンと腰を叩いたものです。

また、部下からの信頼を獲得する方法として、ビジネス書なんかで、「部下の肩をポンと叩いてみる」なんていうのも紹介されていますよね。

親子しかり。スキンシップというのは、ラポール形成の重要な要素なんですね。夏の行楽シーズン真っ盛り、久しぶりにパートナーと手をつないでみては?というキモいオチ。

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2011年8月 3日 (水)

【コラム】昼夜逆転は一日で治ります!

いつも僕に刺激的なトレンドを紹介してくれる、NPO法人育て上げネット工藤理事長が、育休中の気づきとして発信している、日中の稼働年齢層の居場所のなさ。

工藤理事長は、これが昼夜逆転を生む一要因になっていると言っている。若者が居ておかしくないのは図書館ぐらいだとw。

ああ、わかるな~、ということで、今回は昼夜逆転について書いてみます。

これ、どうでもよくないか?と、思う方も多いのではないかと思います。しかし、保護者相談を受けていると、保護者が心配していることのベスト3ぐらいに、昼夜逆転がランクインしてくるぐらい、一緒に生活している家族にとっては、大問題なんですよね。

中には、昼夜逆転というのは病気だと思い込んでいる保護者の方も少なからずいらっしゃって、「治るんでしょうか?」なんて、真顔で言われます。

僕はキッパリ言いますよ、「一日で治ります!」ってw。今日はこのことについて書いていきますが、その前に。

保護者の心配は、おおよそ以下の通り。

1,昼間の仕事に就けないのではないか?

2,自分たちが寝ている間、何をしているのかわからない。

3,日に当たらないという不健康さ。

という感じ。2,については、同じ屋根の下に住みながら、もう何年も子供の顔を見ていないため、子供の髪型を知らない、という信じ難い状況が普通にあります。

ただし、よく話を聞いていくと、保護者も遭遇しないように配慮しているケースが圧倒的なんです。ここに長期化の罠が潜んでいますが、この話はまた今度。

工藤理事長の法人、育て上げネットの敏腕スタッフ山本さんと、昔、何度か一緒に保護者相談を受ける機会がありました。山本さんは若者目線の説明が上手いんです。その時、山本さんが保護者の方に言っていた昼夜逆転の説明はナイスでした。カミングアウトすると、以後使わせていただいていますw。

「僕も三連休なんかあると、昼夜逆転しちゃいますよw。明日休みだからいいやとゲームをやって二時三時になる。次の日なんにもなければ昼まで寝て、夜眠くないから、また起きてると。うちの若いスタッフもみんなそう」と、こんな感じ。

そう、“予定がなければ”、若い人は誰もが昼夜逆転するんです(おっさんはなぜか朝目が覚める)。

逆に言えば、予定があれば昼夜逆転は一日で治るんです。だから、昼夜逆転をどう朝方に戻すかを考えても、昼夜逆転は治らない。

そうではなく、どう予定のある日常を取り戻すか、を考えなければならないのです。その際、この予定が他者との約束になっていることがポイント。

ひきこもり、ニートの若者が他者とのアポイントを取る。あり得ないですよね。だから、育て上げネットのような若者支援団体が必要となるわけです。

昼夜逆転は一日で治ります!この話に戻しましょう。僕は、今はなき、三ヶ月の合宿型就労支援「若者自立塾」(厚労省委託)の責任者をしていました。

ここにくる若者は、ほぼ間違いなく昼夜逆転の生活を送っていました。もちろん、起こしにもいきましたが、100%翌日から起きてきていました。

起きて来ないと、みんなが朝ごはんを食べれないという、「他者との約束」がそこにあるからです。彼らを見ていると、他者との約束は、いつしか「自分との約束」に変わっていくのがわかります。僕は、それが自からの足で立つ「自立」なんだと考えています。

自立塾の集まりなどで、他団体の職員から昼夜逆転が治らない、という悩みを聞きましたが、恐らくこの「他者との約束」という設計が抜けているんだと思います。

ということで、昼夜逆転は一日で治ります!ただし、昼夜逆転は一日で戻りますw。

そんなもんなんですよ、お母さん。

最後に、僕らの業界でまことしやかに囁かれている、昼夜逆転にまつわる都市伝説的仮説を紹介しましょう。それは「昼夜逆転25時間サイクル説」です。

これは、ひきこもり生活をしていると、体内時計が25時間設定となり、必然的に、毎日眠くなる時間が一時間ずれていく。よって、昼夜逆転し続けることはなく、あるサイクルで朝方に戻り、また夜型に戻っていくというもの。

ないない、という声が聞こえてきそうですが、本当のところ、どうなんでしょうかw。

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2011年8月 2日 (火)

【コラム】下ネタという大衆型見立てツール論

僕も、こういうことを書くのが立場上不適切な気がしますが、誰も書かない大事なコトとして、さっくり書いておきます。

世知辛い世の中になったと申しますか、真っ当な世の中になったと申しますか、下ネタがタブーになっております。

思い出せば、僕が前職で、食堂での下ネタを禁止させられた2002〜3年頃からでしょうか。

僕が前職で最初に就いた部署が、リサイクル資源をひきこもり経験のある若者たちとトラックに乗って回収して回る、通称「エコ」でした。

ここには、家から出てきた(主体的に出てきた人も、非主体的に出てきた人もいます)若者が、最初に参加するプログラムで、僕はそこの責任者でした。主なミッションは、定着と見立てです。

若者たちと、段ボールや瓶、缶、雑誌やボロなどをを回収しにいくと、雑誌の中にエロ本があるわけです(僕らはこれを貯めては売りにいき、非公式の飲み会を若者たちとしていましたw。売りに行く時の気まずさときたら!)。

この話のポイントは、下ネタが通じる若者たちと、下ネタが通じない若者では、自立していくスピードが明らかに違うということです。

どちらが早いと思います?

ご想像通り、下ネタが通じる若者たちは、あっという間に元気になり、すったもんだありながらも、なんとか社会に出ていきます。

しかし、下ネタが通じない若者たちは、時間がかかる。というのが、僕の実感値です。ただ、これまで多くの支援者から共感を受けてきている気付きなので、多分そうなんでしょう。

さっきの「エコ」の休憩時間に、スタッフとエロ本見ながらゲラゲラ笑ってるヤツは安心でした。しかし、僕が「持ってくか?」なんてエロ本を差し出すと「僕はそういうのは読みません!」なんていう若者は要注意です。ほぐすのに時間がかかるというのでしょうか。

ここで大事な見立てとしては、オープンかムッツリかなのですが、オープンでもムッツリでもないタイプがどうやらいたなあ、ということです。ここは正直、僕もよくわからない。

なので、このよくわからなさを、他の部分で補い支援方針を立て、本人と向かい合って、結局下ネタが通じる健全な若者になってほしい、ということではなく、そんなコトはどうでもいいこととして、自立していってほしいわけですが、その自立の過程を構築する上で、下ネタって案外大事なファクターなんじゃないかと思うと、言いたいわけです。

最近、ブースの中の相談とか、大勢を前にした講義が中心で、昔の生活を共にしながら、ほんとにダイナミズム溢れる支援をしていた頃が懐かしい。

ブースで向き合うんじゃなく、トラックの運転席と助手席で、同じ景色を観ながら、同じ風に吹かれ、汗だくになって、腹好かせながら、「おまえこれからどうすんの~?ちゃんと考えてんのかよ?」なんて、目も合わさず聞くあの感じ。僕にはあってたな〜。なんて、思う。

話を戻すと、欲望の強さだと思います。欲望を達成させるための手段に、仕事だとかお金があるわけで。マズロー的なテッペンを、下が満たされていないのにストイックに目指しちゃうリアリティーのなさ。

このギャップの深さが下ネタというファクターからも、見えるんじゃないか。ということを気にしてもいいのかなあ、程度の話でした。

下ネタではなく、シモネタとした方が、ソフトだったかなと、プチ後悔しつつ、下ネタというのは、ちょっとお下劣な、許し合うという大衆コミュニケーションのツールなんだろうな、というこを感じるのでした。

あんまり、さっくりじゃなかったですねw。

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2011年8月 1日 (月)

【コラム】気になる独り言と、気にならない独り言

NPOの支援施設で、長い間、ひきこもり経験者の若者たちと、ともに生活をしながら、感じていたことを、ふと思い出したのでメモ書きしておきたい。

独り言は誰でも言いますよね?

僕もCDをチョイスしながら「な~に聴こっかな〜」などど言ってる。電車の中でも、誰かが「いけねっ」とか、よく言ってる。

でも、今回の話はその独り言はとは、ちょっと違う独り言。自閉症の方の独り言と、統合失調症の方の独り言の違いについて、まったく非科学的な実感値に基づいて、書いてみたいと思います。

気になる独り言と、気にならない独り言の違いは何か?

それは、心の中に他者がいるか、心の外に他者がいるかの違いだとだと思います。

先ほど例に出した「な~に聴こっかな〜」や「いけねっ」の場合は、聞いてほしい他者がどこにもいません。だから、あんまり気にならない。

僕がお付き合いしてきた自閉症の方たちの独り言は、基本気になりますw。慣れると、完全に気にならなくなりますが、新人くんたちは、必ずといっていいほど反応しちゃいます。

自閉症の彼らの独り言は、他者が心の外側にいるパターンです。その他者は本当にそこにいることもあるし、いないこともある。

だから、独り言を聞いた人は自分に話しかけられているようで、反応してしまうんです。或いは電車の中などでは、面倒なことにならないように距離をおかれてしまうんです。

自閉症の方たちは、自分に反応してくれて、簡単に嘘に引っかかる新人くんたちが大好きです。先輩スタッフは、それをある種のイニシエーションとして、微笑ましく見ています。

一方、統合失調症の方の独り言は、心の内側に他者がいる感じの独り言なので、明らかに自分に言われている感じがしません。

自閉症の方の、情報が目から入り、それに反応しているのに対して、統合失調症の方の独り言は、なにに反応しているのかわかりません。完全に内側で起きている現象に対して反応しているようです(幻聴や幻覚)。

明らかに言葉が目の前の現象からかけ離れているので、私たちが物語に引きずり込まれることがないのです。

新人くんたちの過ちのひとつに、この物語にクビを突っ込んでえらい目に遭うということが、ちょくちょくあります。僕もありました。

ちなみに、自閉症の方の独り言に首を突っ込んでも、そんなに、えらい目には遭いませんので、ご安心ください。

この話は、民間療法的なひとつの見立てとして、独り言を言うクライアントが、どのような方なのかを判断する際に、他者がどこにいるのか、にポイントをおくと、ある程度の仮説が立つといえるんじゃないかと僕は思っています。

大事なことはあくまで仮説であり、これを実証するために様々なカリキュラム(或いは家庭内での動き)での動きを、複眼的眼差しで考察しつつ、支援方針を立てていくことが大事で、特に医療機関にかかっていない統合失調症の方の見立てから、医療機関への繋ぎには、日常の観察が、大切になることが多いように思います。

今朝、通勤途中、威勢のよい鳥の鳴き声を聞き、ましたが、鳥の声って気にならないですよね?でも、犬やネコの声は気になりますよね?

これも、鳥の心の中には他者がいないけど、犬やネコの心の中には他者がいるからなんだと、買ってに関連付け、コラムを書く気になった次第でしたw。

最後に、仕事中に考えを口にしながら仕事する人がいますよね?すっげー気になりますよね?なんでだと思います?

あれは、忙しいアピールで、明らかに他者であるあなたがターゲットになってるからなんですよ。

ということで、おしまい。

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