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2012年8月25日 (土)

キャリア・スキル・トレーニング(CST)とは?

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昨日、高知県教育委員会の主催のセミナーで講師を努めて参りました。そのタイトルが『キャリア・スキル・トレーニングの理論と実践』というもの。前日には『ソーシャル・スキル・トレーニング講座』というものを徳島大学大学院の教授が実施する、セットもの企画の後半担当ということです。

さてこの企画、与えられた時間が5時間もあります。僕の中では、解説付きの『シェアコロ・ベスト・ワークス』のお披露目、という意味合いが資料を作成する中で強くなっていきました。そして、もう一方では自分たちのしてきたことの「答え合わせ」の機会。

依頼主は、僕との交流が深い教育委員会の方。この方は高校の教員から、教育委員会に出向中ということで、現場の危機感や教員の強味弱身を等を身を持って体感しつつ、この5年間は自立塾やサポステを担当してきているという方。気合が入らないわけがない。

このブログでも何度か紹介している室戸高校定時制での一連のキャリア教育プログラムもこの方の企画でした。そして、講師を務めた僕の実践及び、いつもケンカ寸前まで白熱する飲みによる若者や教育問題の討論から、僕がやっていることを『キャリア・スキル・トレーニング(CST)』と名付けてくれました。しかし僕は、新たに名付けたものとはつゆ知らず…。

講座の資料を作りながら「キャリア・スキル・トレーニング(CST)とは?」と考え、当然の習慣としてググったわけですが出てこない。僕はそういう既存のCSTという支援方法があり、そこに当てはめてのご依頼かと思っていたのですが、担当者の造語だったことがここでようやく判明。

なんと説明するか?相変わらず無理難題を押し付けてくる方だと思いつつ、とても悩みました。

そこで以下のような仮の定義付けをして、図々しくも第一人者としてのプライドを持って頑張って行こうかなと、ゆるく思っているわけです。

『キャリア・スキル・トレーニング(CST)』とは、今後、職業人人生を歩む学生や、或いは再スタートをしようとする方々に対する、ワークショップを取り入れた気づきや納得感の高い実践的プログラム。

ワークショップとは、
・落とし所に恣意性を持たせず、参加者に相互作用による自由な創造の場。
・メリット:自発的な気づきによる学びの強化。
・デメリット:ファシリテーターの力量による場が左右される(安定的ではない)。

このデメリットが教育現場で受け入れられにくい要因のひとつであり、「総合的な学習の時間」や「キャリア教育」等が学校現場=教員にイマイチ馴染まない理由だと僕は考えています。また、この自由さが学習指導要領的ではないのだと思います。

一方、就職(就活)指導とは、
・マナーや礼儀等、正解(落とし所)のある実践練習。
・メリット:指導しやすく汎用化も容易(安定的)。
・デメリット:ノウハウの強化だけでは動けない生徒に対して効果を発揮しない。

上位下達になりがちなわけですが、教育とはそもそも上位下達なわけで、学校=教員にとっては馴染みやすいスタイルなわけです。しかし、このデメリット部分が「"やって”はいるが"出来てる”とは言えない」になっているわけです。また、サポステ等の利用者は、まさにノウハウの強化だけではなく、自己効力感の強化を図る必要のある人たちなんですよね。

CSTという、僕のやってる『アル活』等のセミナーは、就職指導のデメリット部分をワークショップのメリットで補いつつ、納得感の高い学びの提供を行うものであり、落とし所があることで、ファシリテーターの力量に依拠する部分が少ない、汎用化しやすいモデルだと思っています。

学校と家庭、企業と地域社会が分断されたエアポケットのような空白に落ち込んだ若者たちを多く見てきています。その空白を埋めるものが、ソーシャル・スキル・トレーニングであり、キャリア・スキル・トレーニングであり、これらはこれまで誰かが自然と担っていたんだと思います。しかし、その担い手が消えた。

いや、いるんです。

でも、役割という"任命”がないと動きにくい社会の中で、実は手をこまねいて傍観している人はいっぱいいる。バイターンではここを掘り起こそうと思っているし、CSTの発展により、多くの方が担い手になれると僕は思っています。

恐らく同様のトレーニング方法を実践してる企業や、個人の方々も多くいらっしゃると思いますし、別の言葉でこのようなものを語ってる人たちも多くいらっしゃると思いますので、言語化されることによる繋がりを期待しつつ、終わりにさせていただきます。

高知の皆さま、大変お世話になりました。また、お会いできる日を楽しみにしておりますm(__)m

Today's BGM is
HARCO/tobiuo piano
S4431553HARCOこと青木慶則さんの声が大好きだ。変声期を迎えた思春期の声のような。僕はこの声を「青春声」と呼んでいる。この無垢な声の響きは、小山田圭吾やオザケン等のフリッパー系なわけだが、僕は弱い。なぜだろう。彼らは自分たちの声質と歌詞を職業的な絶妙な感覚でブレンドをしていると思う。このアルバム、青春声からは背伸びした歌詞に聴こえる。この背伸び感が甘酸っぱい。ピアノを中心に置いた録音もいい。マイナーな方だと思うがオススメである。

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