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2012年10月27日 (土)

俺が会社を始めた理由

Chapter.3遥かなる旅路へ

さてと、この間はどこまで喋ったかな…?思いだすまでの間、いつものように一番下のYoutubeで音楽でも聴いててくれよ。

そうだ、御茶ノ水の酔いどれ女神に「人生は一回しかない」って言われたとこまでだったな。あれは、ほんと在り来りの言葉なのに、雷が落ちたみたいだったよ。体が痺れたままホテルに戻り、そこで思いついたのが「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」のリフさ!ガハハハ…、冗談だよ、俺はキース風に喋ってるだけで、本物のキース・リチャーズじゃないんだぜ、ガハハハ!

あの頃、仕事ではじめて高校に行ってワークショップをやるという企画があったんだ。学校嫌いで、先生の悪口をラップしてた俺が教壇に立ったんだぜ、笑える話だけど、本当に緊張したよ。

あれがはじめて高校生たちに出会った仕事だった。そこは定時制高校で、いろんな歳のなんとなく斜に構えたような若僧がたくさんいたよ。だが、一番斜に構えてたのは誰だと思う?

生徒じゃなくて先生の方さ。腕組して俺たちを腕前拝見とばかりに見てる。ありゃあ、やりにくかったなんてもんじゃなかった。さすがの俺も冷や汗もんだったよ。事前にネタを説明したら、平仮名だらけのテキストを見て、「うちの生徒は頭が悪いからこれは難しすぎる」って言われたんだ。だけど、生徒たちは俺たちのやるワークに目を輝かせて食いついてた。

俺は思ったね、若者の可能性の芽を摘んでるのはこういう教師だって。「ピグマリオン効果」 ってというのを知ってるか?生徒の成績が悪いのは、教師が「こいつは馬鹿だから教えてもわからない」って予測してることが影響しているってことを証明した実験だよ。俺はその時、そんな知識はなかったけど、おんなじ仮説を持ったね。

こいつらには、こいつらの可能性を信じてる大人たちが必要だって。

俺がその大人にならなきゃって思ったよ。俺がやるべき仕事は、こいつらを一人前に育てて、いっぱしの仕事に就け、ニートや引きこもりにさせないことなんじゃないかって思ったんだ。

あの頃、俺はもう勤続8年だか9年のNPO法人にしてはベテランで。毎日が繰り返しのモグラ叩きみたいに思えて、少しうんざりしてたのかもしれないな。誰かを元気にして社会に出すと、翌週にはまた新しく自尊心を失った若者が頭を垂れて入寮してくる…。

これはこれでとても重要な仕事だけど、俺がやるべきことは、やっぱりあの高校生たちに現実を知ってもらい、こんな時代の生き抜き方を、こいつらと一緒に考えていくことなんじゃないかって、そう思うようになっていった。

いいか、ここ大事なところだぞ。答えを教えるんじゃないんだ、一緒に考えるんだ。教師たちはみんな答えを持ってる。俺たちは答えを持ってない。俺たちだってどうしたらいいかわからない中で、より良いだろうと思う方向に歩いてるだけなんだ。

たまにこんなやつが俺のところに来るんだ、「答えを教えてくれ」って。勘弁してくれよってんだよ、俺だってどうしていいかわかんないんまんま気がついたら子供が三人いるんだぜ、ガハハハ。でも生きてる。なんでだと思う?そんなことを高校生たちと話しながら、一緒に歩いていたね。

意外なことに、例の腕組み教師たちの定時制高校から、もう一度あのワークショプをやってほしいって依頼が入った。それが俺の自信にもなり、予防支援というキーワードを本格的に考えるようになっていったんだ。

おっと、余計な話をしてる間にまた時間が来ちまった。いつまで続くんだよこの話は。真面目な話も書かないと俺の信用が丸潰れだから、次回辺りで完結させたいな。だけど、まあいいか。人生は気が遠くなるほどに長そうだ。時間は俺たちの味方さ(Time is on my side)。

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