過保護のボーダーライン
路地に佇んでいたキンモクセイの香りが風に運ばれてくる度に、真っ赤な彼岸花が雁首揃えて嫉妬している。
僕はどこからともなく漂うキンモクセイの香りに足を止め、周囲を見渡した。
すると色褪せることのないサルスベリの花が目に飛び込む。その厭らしいピンクの花に訳の分からない嫌悪感が込み上げ、それに引き換えてかキンモクセイっていいなと、変に無条件に思った。
涼しくなった空気に身を正し空を見上げ、絹積雲を欠伸で滲んだ目で確認する。
「秋だよなあ、眠いわけだぁ」と思う。
なんて小説の主人公になってみたりして(笑)。
何度か紹介している、若年者就労支援に興味のある一般人を集めて行なわれる「ニート対応基礎対策講座」が今日の午後に行なわれた。
準備にはあまり時間をかけなかったけど楽しい作業だった。このフィーリングをどこまで活かせるか、と言うのがテーマだったけど、参加者が7人と少なかったせいか意外と活かせずにちょっとシリアスになってしまった。この路線もありなんだけど。
質疑応答では興味深い、というか一般の方々の中の硬派な方(?)からたまに出て来る問いかけがあった。内容を要約するとこんな感じ。
「うちの若いモンも、今日語られたニートと同じ。彼らに気を使う過保護さが彼らを駄目にしているのではないか?」という質問ではなく、我々支援者に対しての疑問。
ゴモットモ!と思う自分がいる。
でも、理由はともかく、社会(企業)が若者を叩き上げる体力を失った時代だから、そこまで手をかけてあげなければならない若者もいるんですよ!と、言いたい自分もいる。
そしてもう一方で、「うちの若いモンも、今日語られたニートと同じ」と言う言葉に、どこも新人の育成や職場定着に悩んでいることを実感。ビジネス・チャンスを「キラりん」と感じている自分もいる。
簡単に書くと、僕は職場の“困ったちゃん”たちを教育とカウンセリングで、組織内で十分に機能する人材に育成する仕事を請け負って行きたいと考えているのだ。
きっと、人材育成=新人教育にはお金はかけれるけど時間がかけれないという会社は多いだろう。私の会社もそんな会社の一つだ。
時間がかけれないというのは、そのテキスト作成の準備の部分だと僕は考える。
そして、カウンセリングという聞き役を客観的に担える人材がいない小規模な会社は腐るほどあり、アサーティブな関係などは夢の様な話しだろうと思われる。
僕の考えているビジネスは、このような企業の新人教育の一部を担い、彼らの会社への定着に貢献することと、カウンセリングによるメンタルケア及びキャリアマネジメントなのである。
そういった意味において、今日は収穫ありだった。僕が多少小難しく書いたようなことを、何気なく実践されている事業主の方も当然のように多数ご活躍されており、本日、疑問を投げ掛けて頂いた方も、そのような方のおひとりであると思われる。
そういった会社に入れた若者はさぞ幸せだろうな、なんて思う。
僕はその“幸せ”にこだわりたい、なんてことを考えている。
ちょっと長くなったので、“幸せ”についてはまた次回。
Today's BGM is
Janis Joplin/JANIS : Early Performances (Disk-2)
ジャニスの死後に制作されたドキュメンタリーのサントラ。フィルムは観ていないけど、このDisk-2は大好き。63〜65年にラジカセで録られた様な古いブルースナンバーを取り上げたアットホームなライブ録音。ちなみに彼女のデビュー盤「チープスリル」が68年のフィルモアだから、音源があること自体が奇跡的なんだけど、そんな歴史的価値なんかどうでもよくて、ホンワカしたムードがBGMとして本当に最適。僕は「アコースティック・コーヒーハウス・ブルース」と呼んでいる。